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2007/01/23

[ArM] Re^2: Curse of the Pink Dot 

 先の記事[ArM] Re: Curse of the Pink Dotに、より丁寧なコメントがVampire.Sにいさま氏とRegulus氏よりコメントが。

【Parma Magica のバグ】
Parma Magicaのルールは、ArM4以前でも相当な“問題ルール”でした。
 - Parma のルールは大きく分けるとArM1,ArM2-ArM4、ArM5の三種類に分類でき、このうちArM2-ArM4ではArM1との後方互換性を保った結果、これはこれでアレな??Vim のマギが異様に強くなる、という??バグが仕込まれていました。
 - ArM5 では、上記のバグは追放されています。
【Magic Resistanceのバグ】
問題は、ArM5でMagic Resistanceによって遮蔽される魔術の基準を変えたため、こっちの変更に伴って新出のバグであるPink Blot Problemが出現しています。


 判りやすいサマリーをありがとうございます。勉強になります。

で、ArM5が刊行されて、高レベル呪文一択にはならない penetration 関連を見てようやく、なるほど今度はそういう楽しみ方が出来るわけね、と素朴に感心しました。(Mythic Perspective の同記事のことは今回初めて知りました。感謝です)

 これは私も同意します。元記事へのコメントでVampire.Sにいさま氏が、
ArM4以前はParmaがall-or-nothingだった(Penetration Totalとspell levelが無関係だったので、高い達成値が出るマギはそのまま最強のFormulaicを叩きつければ戦闘が終わってた)という点を改善することを目的に提案されていたものです』
と書いていて、私も良い改善だと思ってます。

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 色々もやもやとArMについて考えていることは、書いているうちにはっきりしたんだが、2つに分けられます。

 1つは、敵Magiとの交戦がいかにあるべきか、という問題。RPGの都合として。

(1-1) PC Magiは基本的にNPC Magiと戦わない事になっている。
(1-2) しかし悪人NPC Magiは、PC Magiと戦う事を前提に行動出来る。
(2-1) 敵として出てきたNPC MagiはPC Magiの脅威となる必要がある。
(2-2) 一方でPC Magiが敵NPC Magiに一方的に殺戮されるのではゲームとして望ましくない。

 (1-1)の帰結としてPC Magiは戦闘専門家でないPCでも許容されます。でも、(1-2)よりNPC Magiと戦うという事態は起きるものと考える必要があります。いきなりの宣戦布告に対して、(2-1)よりPCが全く傷つかないのはまずいですが、(2-2)を考えると、PC側が負けて逃亡出来る余地がないとまずい。
 ゲーム的には、敵の最初の攻撃でPCが継戦を望まないが逃亡出来る余力を遺せるのが望ましい。(例えていうと、WizardryでGreater Demon集団の不意打ちを受けてHPの多さで生き残った前衛が仲間の死体を抱えつつHelm of Teleportで逃亡、みたいな。) まぁ実際問題としてArMでは「敵Magiは顔見せでは演出として最初はGrogを蹴散らしてみせ、PC Magiに逃亡を決断させる」でいいのかもしれないが。
 上記を満たす為には、MRが強力なルール (NPCは準備に時間をかけpenetrationを強化しているがPCのMRを抜くのは難しい。一方でPCは準備が無いのでNPCのMRを抜けないので、撤退するしかない)でも十分条件を満たす。もっともArMはいわゆるhitpointに相当する部分の、許容ダメージウィンドウが狭いのでダメージを受けると負傷が無くてすぐ死ぬような印象があるんですけど...。そういう意味でD&Dのstoneskinみたいな意味でabrative parmaが機能するといいかなぁと思っていたり。

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 2つ目は、間接的攻撃に関する扱い。

 Curse of Pink Dot (CoPD) については、その背後にあるものは問題だと思うのだが、それがダメージを回避すること自体はあまり問題視してません。「Magiは一般人から斬り掛からるような状況でも、その呪文で身を守ることが出来る」「MR持ちの剣、例えば聖別された剣とか、十字軍の英雄の剣とか、にはCoPDはかからないので、Magiといえども剣で倒す手段はある」でいいじゃん、と思うからです。

 問題視しているのは、現在のArM5のルールは「慣性の法則」との矛盾が大きいからです。Paradigm and Ars Magica @ ArM FAQでいうところの、"belief defines reality" は否定されたはず(ですよね?)であるにも関わらず、MRでの扱いは解せない。
 「通常の投石機で投げたmundaneは岩はMagiにダメージを与える」「魔法でMagiの頭上にmundaneな岩を持っていき、魔法を解除して自由落下させるとダメージが与えられる」。しかしながら「魔法で初速を与えたmundaneな岩はMagiにダメージを与えられない」は、「当時の人は慣性の法則を知らなかったので、belief defines realityに従い、魔法によって初速が打ち消されダメージが無い、あるいは速度が魔法で無効化され命中しない」という解釈が残っているように見えます。それって、Toonの「本人が気付くまでは、崖から歩き出しても落下を開始しない」というのと物理現象としては同じなんだが...。
#なんていうか、能動的な呪文(など)による効果以外で物理現象を起こすと、よほど良く考えておかないと変な物理現象が起きるんですよ。

 逆に、intelligent parmaのような「敵対的意図から発せられた呪文による直接的あるいは間接的ダメージの無効化」ならばいいと思うんですけど。あるいは "belief defines reality" に従うならならば、それはそれで面白いと思ってます...ってそういうのが好きならMageを遊べとも言われたが。

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 またArMを遊ぶというのを検討してもらっている最中で、それ前にSGに対して疑問点を明らかにしておこうかという意図を持って、ここんとこArMについて色々考えてます。
 そういう意味では、ArMについて語るオフというのをするといいのかなぁ。興味ある人います?顔を会わせれば、遊ぶ相談とかも進むものだし。

Comments:
まず、最初にお詫びいたしますが大変長いコメントを以下に記述します。元もと、この辺のネタは一通り考察したことがあり、それを用いてキャンペーンシナリオにしていたという経緯があるのでして。

以下では基本的にArM4の用語・概念を用いて説明することとします。ArM4はWorld of Darknessからの脱却を図る上で、David Chart等の科学哲学・科学史を背景に持つ著者達を動員した結果、“中世ヨーロッパの哲学に基づくHermetic Magic”を語る上では大変便利な用語体系を持っているのが、その理由です。一応、ArM5の概念との対応関係については可能な限りフォローしますが、少々読みづらくなってしまうことをお許し下さい。

1. 1つは、敵Magiとの交戦がいかにあるべきか、という問題。RPGの都合として。

結論から述べるなら、ArMにおいて、Magi同士の交戦はほとんど発生しません。以下、それを挙証してみます。

Order of Hermes (以下OoH)とは、魔術師間における安全保障をその存在目的としていることに留意して下さい。従って、Code of Hermesに従う限り、殆どの場合実力行使は“不利な選択肢”となるよう、予めOath of Herems/Hermetic Codeは入念に設計されています。

例えば、

> しかし悪人NPC Magiは、PC Magiと戦う事を前提に行動出来る。

を考えてみましょう。

OoH に属する魔術師同士は、

 ・正規の手続きを経たWizard's War以外の手段では、肉体的危害を加えてはならない
 ・さらに、Wizard's War 期間中を除き、通常通り“魔術的手段を介した情報探査”等を含む禁止規定を遵守する必要がある

という規約があります。Wizard's Warは“宣戦布告から実際の戦闘開始まで、Duration: Moon に等しい期間が置かれ”、さらにその通告は一般にHouse Mercereを通した正規の内容証明を伴うものである必要があります(加えて、Wizard's War解決後に控えるTribunalでの訴追を免れるためには、可能な限り“証人”がいることが望ましいでしょう)。加えて、一度Wizard's Warを布告したとしても、その期間は有限であり、その期間を超えた段階で効力は終了します。

結果として、

 ・Wizard's Warの期間中、CovenantのAegisの中に籠もっている

ことで、望まないWizard's Warによる死は免れることができます。

そもそも、Wizard's Warは(Schism War等の異常事態を除けば)個人??個人間の闘争であるため、Covenantの内部に居住している限り、Covenantの他のMagiにおける通常の権利??身体財産ならびに魔術的情報の不可侵??は、通常通り保証される必要があります(これが犯されたことが挙証できた場合、直近のTribunal??Quaestor一名以上を含む四カ所以上のCovenant構成員からなる12名以上のMagiによって開催されるWizard's Councilにおいてそれを提示することにより、Wizard's Marchが発動されます)。

従って、事実上Wizard's Warは

 a. 片方がCovenantに所属していないか、何らかの事情で一ヶ月以内に自分の所属Covenantに戻ることが難しい場合
 b. 戦線を布告されたMagiも、Wizard's Warに同意する場合

のいずれかの場合にのみ機能する規約です。

当然の結果ですが、Wizard's Warというのは非常に稀な現象であって、実際のキャンペーンシナリオにおいてもOoHのMagi同士が対戦する光景を見ることは、非常に珍しいでしょう。参考までに、私は10回以上のシナリオからなるキャンペーンをArM4で運営していましたが、Wizard's Warが発生したのはたったの一回、しかも相手は隠れDiedne Magiで、そもそもCodeの保護対象外かつOoHの公式敵対者に過ぎませんでした。

従って、

>(2-1) 敵として出てきたNPC MagiはPC Magiの脅威となる必要がある。

確かにRPG的にはライバルを出したくなるのですが、OoH内部の敵対者にとっては、

 ・Covenant 内部における私的権力闘争
 ・Tribunalにおける法的・政治的闘争
 ・正規のCertamen

等の方が、Wizard's Warよりもよほど“筋の良い”解決法であり、これらにおいてはMagic Resistanceは関与しない(もしMRが何らかの形で関与した場合、“deprive the magical power”条項に基づく身体財産の不可侵権、または“scrying by magical means”条項に基づく魔術的情報の不可侵権、のいずれかに抵触する可能性が非常に高いです)。

以上から、厳密にArMをゲームする場合、“RPGである以上、PCにはライバルが出現する”という要請と、“MRに関するメカニズム”は、直接には関与しないことが多いでしょう。 (Use This Comment Link)
 
「magiと戦えないならcreatureと戦えばいいじゃない」とか言ってみる(^^;)
いえ、戦闘自体のないシナリオもかなりあるとは思いますけどね。

magi間に真剣の戦闘は原則として起こらない、というのは正しいです。正しいですが、私みたいな厨房には、機会さえあればその禁じ手をやってみたい誘惑が。忍者ものだって、抜け忍殺しとか何とか理由をつけて、忍者vs忍者も見たいじゃないですか(笑)

語るオフはいいですね。こんなに遠くなければ無条件に飛びつくところです。もし実現しそうでしたら本気で検討します。 (Use This Comment Link)
 
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