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2004/05/29

[Books] カエサルを撃て 

 佐藤賢一「カエサルを撃て」が文庫に落ちたので買って読む。どっちかというとRPG関係の話なのかとも思うので、こっちのBlogに書きます。

 BC52年を舞台に、美しくも残忍な若きガリア王ウェルキンゲトリクスによるローマへの反乱と、それを迎え撃つ属州総督のカエサルの、二人の男の物語。基本的に、カエサルの「ガリア戦記」第7巻の部分が元ネタなんで、一緒に岩波文庫のガリア戦記も買うといいんじゃなかろうか。地図もついているし。
 物語は、若きウェルキンゲトリクスが叔父に放逐された後に仲間とともに帰還し、権力を奪取して反ローマを掲げてガリア王に成り上がっている部分と、対するに既に中年男であってローマへの影響力を維持し続ける為にもガリアの反乱を鎮圧せねばならないカエサルの、対照的な2人の視点から書かれ、物語は最後にアレシアの攻防戦へと収束して行く。
 ウェルキンゲトリクスの人物造形は、例によって佐藤賢一的主人公。無法者で女性に好かれ、無神経に見えて軍事の天才という感じ。まぁ好んでそういった人物を書いているのだろうなぁ。
 で、RPG向けという部分だが、RuneQuestとかでサーターを遊ぶならば、一読するといいのではないかと思う。本当は一致団結して強大なローマに立ち向かわねばならんのではあるが、部族間の反目あり親ローマ部族あり部族内部での権力争いあり、という感じが、サーターを理解してプレイする上で重要だと思う(無論、この辺から題材を得てグローランサをデザインしてるのだから当然なのだが)。オーランシーならば皆ルナーと戦う訳ではないのだよな。主人公が放浪の末に仲間を集めて帰還し上り詰めるあたりも、いかにもな感じだ。ホワイトウォールの街はアレシアなのだろうなぁ。

 ここの読者の人はD&D者が多いのだと思うが、伝統的なD&D的ファンタジー世界も良いけど、グローランサ的な蛮族を遊ぶ楽しみというのは、また別の楽しさがあるというのも知って欲しかったり。d20グローランサとか出ないかなぁ。d20 Conanで遊べばいいのかなぁ。
 という訳で、グローランサ知識のある人にはお薦め小説だし、無い人もこの小説からグローランサに興味を持って頂けたら、と思う。うちのコンテンツにも若干のHero Wars関係記事があります。

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